開業届とは、個人事業を開始したときに税務署に提出する書類で、正しくは「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
ただ、開業届は出さなくても罰則がないので、出さずにやってる人もいます。
開業届を出すメリット
出さなくても罰則がない開業届ですが、出すことで受けられるメリットがあります。
- 青色申告の開始届
- 銀行口座の開設
青色申告の開始届
開業届を出して、さらに青色申告の開始届を出せば、税金面での優遇措置が多く受けられます。いわゆる節税対策ですね。
儲かってきて税金を払わなければいけないぞ~ってなってきた場合に、節税対策してあるかどうかで大きく変わってきます。税金はでかいですから・・・。
その節税対策の一つが、青色申告です。青色申告をするためには、開業届を出すことが必要です。
青色申告控除
青色申告は、確定申告の際に最大65万円の控除を受けられる制度です。
どれくらい得になるかというと、例えば所得税の税率が10%だとしたら、65万の控除があれば6万5千円は節税できます。
単純に万単位の節税になりますが、年間利益が500万とかになると、もう数十万円レベルで変わってきます。
儲けが大きくなればなるほど、青色申告での節税メリットが大きくなります。
赤字の繰り越し
税金は利益が出た分に対してかかってくるので、利益が少なかったり赤字だったりするとメリットが無いんじゃ?と思うかしれません。
しかし、青色申告は損失の繰り越しができる、つまり損した分を翌年以降に引き継いで清算することができるので、赤字だったとしても青色申告のメリットがあります。
赤字の繰り越しはめちゃくちゃ節税に威力を発揮するので、赤字の場合でも青色申告はしておくべきです。利益が出た年に、利益と繰越の赤字を相殺することができるので大きな節税になります。
帳簿が少し複雑
他にも減価償却などで節税メリットがあるので、青色申告はガッポリ儲けてる人やキッチリ節税したい人にはうってつけです。
但し、青色申告だと帳簿が複雑になります。税理士に頼んでる人とか、会計ソフトできっちり処理できてないとダメです。
赤字じゃないけど利益が少しだけあるという場合は、無理して青色申告にせず、帳簿がシンプルになる白色申告でもいいかなと思います。
事業所名での銀行口座の開設
個人事業主だと、
○○商店 代表 何某
という名義の口座が作れます。
このような事業所名(屋号)がついた銀行口座を作る際には、銀行から開業届もしくは確定申告の控えの提出を求められます。
事業をやってますよ、という証明ですね。
事業を始めたばかりで確定申告をまだやってない場合は、事業所名で商売している証明書類がありません。銀行側も、本当に事業やってるの?って思っちゃいます。
開業届の控えがあると、「ちゃんと税務署に届け出てやってます」という証明になるので、事業所名のついた事業用口座の開設ができるようになります。
補助金や給付金の申請
国や県などの補助金の申請の際、開業届の控えを求められることがあります。
既に事業を何年も続けていれば、過去の確定申告の控えだけでもよかったりするんですが、開業して間もないときに補助金を申請しようとした場合は、事業をしている証明が開業でしかできないため、開業届の提出を求められることが多いです。これは銀行口座の開設と一緒ですね。
輸入転売という面からの必要性は?
輸入転売においては、自分の銀行口座の名義は表に出ないので、口座開設の点では開業届はどちらでもいいです。個人名義の口座を事業用として管理してやってる人もいます。
ただ、節税面から青色申告をやりたい場合は、開業届を出しておいた方がいいでしょう。
開業届を出すのはどのタイミング? おすすめの提出時期
開業届を出すタイミングはいくつかあります。
- 「個人事業主だ」と思ったとき
- 年間の利益が20万、もしくは38万円を超えそうになったとき
- 青色申告をしたくなったとき
自分で「事業主だ」と思ったとき
開業届は、自分で「これから事業を始めよう、自分が事業主だ」と思ったときに出せます。
「開業届を出す=個人事業主になる」ということなんですが、思ったときでいいので、いつでも出せます。
どれくらいの規模から個人事業主になるのか?というと、これは自己申告の世界です。
売上ゼロでも「個人事業主だ!」と言えばそうなりますし、売上50万でも「儲けは10万くらいだから副業だ、個人事業主じゃない」と言えばそうなります。
開業届を出す要件に売上や利益は関係ないので、利益がゼロ、売上がゼロであっても、開業届を出すことができます。
儲かる前に「これから稼ぐぞ」という意気込みで出してもいいですし、儲かってから「これなら事業としてやっていける」と思って出してもいいです。
出したらそこから「個人事業主」です。
ただ、利益がたくさん出ていて、客観的に「これで食ってる」ってなってた場合は、税務署から問い合わせが来る前に開業届を出しておいた方がいいとは思います。
年間の利益が20万、もしくは48万円を超えそうになったとき
お小遣い稼ぎの範囲内であれば、開業届は不要です。
サラリーマンの副業の場合、副業の1年間の利益が20万までなら確定申告の必要はありません。専業主婦や無職の場合は、基礎控除が48万円なので、年間利益48万円までなら申告の必要なしです。
このゾーンであれば、確定申告はしなくてもいいです。
しかしこの額を超えてくると、副業であっても確定申告が必要になります。つまり、税金を計算して支払う(もしくは還付を受ける)ということです。
副業で税金を払うべきレベルになったということで、このタイミングで開業届を出す人もいます。
でも、「それでもまだ副業レベルだから」と開業届を出さない人もいます。
どちらもアリです。
扶養の範囲を超えそうなとき
副業としてスタートしたのが、気が付けば年間利益100万円を超えてきて、扶養の範囲から超えそうだ・・・。この頃が、一つの出し時です。
パートなどで扶養の範囲内で働くことがよいとされるケースもありますが、輸入転売はやればやるほど利益が伸びていくので、続けていくと扶養の範囲内に抑えるのが難しくなってくると思います。
「扶養から抜ける=自立している」という感から、開業届を出す目安の一つとしている人も多いです。主婦の副業として始めた人は、このタイミングで出す人が多いです。
ちなみに、開業届を出したとしても、結果的に年間利益が扶養の範囲を超えていなければ、そのまま扶養に入れます。開業届の有無は、扶養に入るか否かとは関係ありませんからね。
青色申告の準備をしておきたいとき
税金を安くするためには、青色申告が大きなメリットになります。この青色申告したいがために開業届を出す人もいます。
事業を始める段階では、どれくらい儲かるかどうかは分かりませんが、当然のことながら儲かるためにやっているわけで、いざ儲かった場合に青色申告の節税メリットが享受できるかどうかは大きいんです。
なので、儲かる儲からないはおいといて、事業開始時に開業届とセットで青色申告の開始届を出しておくのが一つのやり方です。こうしておけば、節税面で損することはないですからね。
出す出さないは自分次第!
開業届を出す出さないは、自分の気持ち次第です。出さなくても罰則がないですからね。
ただ、出すメリットはあるので、そのメリットを受けたいかどうか、事業主としてやってく意思があるかどうかで、タイミングを見て出してもらったらと思います。
筆者が思うには、輸入転売で儲けていきたいと思ってる人は、遅かれ早かれ開業届を出すことになると思います。
で、「自営業です、輸入転売でご飯食べてます!」って言ってもらいたいです。